労働者災害補償保険(労災)は、業務上の傷病・障害・死亡に対して給付が行われる保険。会社の同意は不要で、労働者が直接労働基準監督署に申請できる。会社が「労災を使わないでくれ」と言っても、労働者の権利として申請を阻むことはできない。
労災が認められると受け取れる給付
| 給付名 | 内容 |
|---|---|
| 療養補償給付 | 治療費が全額支給(自己負担なし) |
| 休業補償給付 | 休業4日目から給付基礎日額の80%(特別支給金含む) |
| 障害補償給付 | 後遺障害が残った場合に年金または一時金 |
| 遺族補償給付 | 業務上死亡の場合に遺族に年金または一時金 |
脳・心臓疾患(脳梗塞・心筋梗塞・過労死等)の労災認定には、以下の過労死ラインが基準となる。
| 期間 | 時間外労働時間 | 判断 |
|---|---|---|
| 発症前1ヶ月 | 100時間超 | 業務との関連性強 |
| 発症前2〜6ヶ月平均 | 80時間/月超 | 業務との関連性あり |
| 発症前2〜6ヶ月平均 | 45〜80時間/月 | 他の要因も考慮して判断 |
パワハラ・長時間労働によるうつ病・適応障害も労災認定の対象。認定基準は「業務による強い心理的負荷」があること。
認定されやすい出来事(例)
- 上司から「殺すぞ」「死ね」等の言葉による暴行・脅迫を受けた
- 恒常的に人格・尊厳を傷つける言動(ひどい叱責・侮辱)を受けた
- 2週間以上にわたる連続勤務を行った
- 月80時間超の時間外労働が複数ヶ月続いた
- 仕事量が突然2倍以上になった・達成困難なノルマを課された
- 配転・出向・降格・退職強要等の不利益な処遇を受けた
申請に必要な書類
- 精神障害の労災保険給付請求書(様式第33号)
- 医師の診断書(傷病名・発症日・業務との関連性の意見記載が望ましい)
- 業務の内容・負荷を示す資料(タイムカード・メール・上司の発言記録等)
医療機関を受診し診断書を取得
「業務上の傷病」として診てもらい、業務との関連性について意見を記載してもらえると申請が通りやすい。
所轄の労働基準監督署に請求書を提出
勤務先の住所を管轄する労基署に申請書と証拠資料を提出。会社の証明がなくても提出可。
労基署が調査(数ヶ月〜1年程度かかる場合あり)
業務内容・残業時間・ハラスメントの有無等を調査。必要に応じて追加資料の提出を求められる。
認定給付開始
認定されると療養費・休業補償等が支給される。不認定の場合は審査請求(不服申立)が可能。